最近は、サイディングやALCといった、断熱性の高い壁材を使用した建物が増えています。
こうした建物の塗替えを行った場合、日当たりの良い面が部分的に膨らんでしまうことがあります。
これを「蓄熱水蒸気ブクレ」または「熱ブクレ」と呼び、古い塗膜に含まれる水分が膨張して表面の塗膜を押し上げることによって発生します。
熱ブクレが起きやすい条件は以下のとおりです。
- 日当たりの良い面
温度が上がりますので、旧塗膜の中に含まれる水分が水蒸気になって膨張します。 - サイディング、ALCなど断熱性が高い壁材を使用している
断熱性の高い壁材は、一度温まると冷えにくい特性があるため、古い塗膜の温度が上がって柔らかくなり、膨張しやすくなります。 - 旧塗膜が、溶剤系アクリルラッカーを使用している
アクリルラッカーは元々熱によって変形しやすく膨らみを生じやすい特性を持ちます。 - 塗替えの塗装が厚膜弾性系
塗替え後の塗装を厚くすることで蓄熱作用がより高まりますので、旧塗膜がより柔らかくなります。さらに弾性系塗料は伸縮性が高いため、フクレが大きくなりやすいです。 - 塗替え後の色が中濃色
日光によって温度がより高くなりやすいため、旧塗膜がより柔らかくなります。
熱ブクレは、発生した個所を部分的に補修しても、しばらくすると別の箇所でフクレが生じて、再度補修が必要となる場合があります。目安として、最低3シーズン夏季の経過が必要と言われています。それまで放置できない場合は、問題の発生していない部分も含めて、旧塗膜から完全に除去して再塗装をする必要があります。
サイディングやALC壁面を塗替える際は、下塗り材の選定が重要です
以上のようなトラブルを回避するために、サイディングボードやALCなどの断熱性の高い素材を使用した壁面を塗装する場合は、旧塗膜がどのような特性のものであるかをしっかり確認することが重要です。
熱ブクレする可能性がある場合は、旧塗膜をしっかり固めて熱膨張を防ぐ下塗材を使用するなど、熱ブクレを阻止する処置を施しておくことが重要です。
耐熱性の高い壁材を使用している場合は、念のために塗装業者に熱ブクレの危険性がないか確認すると良いでしょう。